📋プロジェクトマネジメント

プロジェクトネットワーク分析とは?CPMとPERTによる依存関係管理を解説

プロジェクトネットワーク分析は、アクティビティ間の依存関係を可視化しクリティカルパスを特定する手法です。CPMとPERTの使い分け、ネットワーク図の構築方法、実践ステップを解説します。

    プロジェクトネットワーク分析とは

    プロジェクトネットワーク分析とは、プロジェクトを構成するアクティビティ(作業)間の依存関係をネットワーク図として可視化し、プロジェクト全体の最短完了期間やクリティカルパスを特定する手法です。1950年代にアメリカで相次いで開発されたCPM(Critical Path Method:クリティカルパス法)とPERT(Program Evaluation and Review Technique:計画評価レビュー法)が、この分析の2大手法として知られています。

    CPMは1957年にDuPont社とRemington Rand社が化学プラントの保全計画のために開発しました。PERTは1958年にアメリカ海軍がポラリスミサイルの開発プロジェクト管理のために開発した手法です。両手法ともプロジェクト管理の基盤として広く普及し、現在のプロジェクトマネジメント標準(PMBOKなど)にも組み込まれています。

    構成要素

    プロジェクトネットワーク分析は、アクティビティの依存関係をネットワーク図として表現し、クリティカルパスと余裕時間(フロート)を算出する構造を持ちます。

    プロジェクトネットワーク分析とクリティカルパス

    ネットワーク図

    アクティビティをノード(四角形)、依存関係を矢印で表現した図です。AON(Activity on Node)方式が現在の主流で、各ノードにはアクティビティ名、所要時間、最早開始日、最遅開始日などの情報を記載します。

    クリティカルパス

    ネットワーク図上で最も長い経路がクリティカルパスです。この経路上のアクティビティには余裕(フロート)がなく、1つでも遅延するとプロジェクト全体の完了が遅れます。クリティカルパスの所要時間がプロジェクトの最短完了期間を決定します。

    フロート(余裕時間)

    クリティカルパス以外のアクティビティが持つ遅延許容範囲です。トータルフロート(プロジェクト全体の完了日に影響を与えない余裕)とフリーフロート(直後のアクティビティの最早開始に影響を与えない余裕)の2種類があります。

    3点見積(PERTの特徴)

    PERTでは各アクティビティの所要時間を、楽観値(O)・最頻値(M)・悲観値(P)の3点で見積もり、期待値 = (O + 4M + P) / 6 の計算式で確率的に評価します。不確実性の高いプロジェクトで特に有効です。

    実践的な使い方

    ステップ1: WBSからアクティビティを洗い出す

    WBS(作業分解構成図)を基に、プロジェクトを構成するアクティビティを漏れなく洗い出します。各アクティビティには一意のIDを付与し、成果物と完了条件を明確にしてください。粒度が粗すぎると依存関係が不明確になり、細かすぎると管理コストが増大します。

    ステップ2: 依存関係を定義する

    各アクティビティ間の依存関係を4種類(FS: 終了-開始、SS: 開始-開始、FF: 終了-終了、SF: 開始-終了)から特定します。最も一般的なのはFS関係(先行タスクが終了してから後続タスクが開始)です。リード(前倒し)やラグ(遅延)を考慮して、現実的な依存関係を設定してください。

    ステップ3: ネットワーク図を構築しクリティカルパスを算出する

    前進計算(最早開始日・最早終了日の算出)と後退計算(最遅開始日・最遅終了日の算出)を実行し、フロートがゼロのアクティビティを結ぶクリティカルパスを特定します。Microsoft ProjectやPrimaveraなどのツールが計算を自動化します。

    ステップ4: リスク分析と最適化を行う

    クリティカルパス上のアクティビティに対してリスク評価を重点的に行い、必要に応じてPERTの3点見積でモンテカルロシミュレーションを実行します。スケジュール短縮が必要な場合は、クラッシング(資源追加による短縮)やファストトラッキング(並行実行)を検討します。

    活用場面

    大規模建設プロジェクトでは、数百〜数千のアクティビティ間の複雑な依存関係をネットワーク分析で管理します。クリティカルパスの特定により、限られた資源を最も影響度の高いアクティビティに集中配分できます。

    システム開発プロジェクトでは、設計・開発・テスト・リリースの依存関係を可視化し、並行して進められるアクティビティを特定することで、開発期間の短縮を図ります。

    研究開発プロジェクトでは不確実性が高いため、PERTの3点見積を活用して確率的なスケジュール管理を行います。

    注意点

    ネットワーク分析は静的なスケジュール計画のツールであり、実行中の変化に自動で対応するものではありません。プロジェクトの進行に伴い、定期的にネットワーク図を更新し、クリティカルパスの変動をモニタリングする必要があります。

    資源制約を考慮しないネットワーク分析は、実行不可能なスケジュールを生む可能性があります。同一リソースが複数のアクティビティに割り当てられている場合、資源平準化(Resource Leveling)を併用してください。

    また、クリティカルパスだけに注目しすぎると、ニアクリティカルパス(余裕がわずかな経路)のリスクを見落としやすくなります。フロートが小さいアクティビティにも注意を払い、複数の経路のリスクを総合的に管理してください。

    まとめ

    プロジェクトネットワーク分析は、アクティビティ間の依存関係を可視化し、クリティカルパスの特定を通じてプロジェクトの時間管理を最適化する手法です。CPMとPERTを状況に応じて使い分けることで、確定的なプロジェクトから不確実性の高いプロジェクトまで、効果的なスケジュール管理が実現できます。

    参考資料

    関連記事