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チーム・コンフリクト・エスカレーション・モデルとは?対立の段階的悪化を防ぐ手法

チーム・コンフリクト・エスカレーション・モデルは、フリードリヒ・グラースルが提唱した対立が段階的にエスカレートするプロセスを9段階で構造化したモデルです。各段階の特徴と介入方法を解説します。

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    チーム・コンフリクト・エスカレーション・モデルとは

    チーム・コンフリクト・エスカレーション・モデルは、オーストリアの組織コンサルタント、フリードリヒ・グラースル(Friedrich Glasl)が1980年に提唱した対立のエスカレーション(段階的悪化)を9段階で構造化したモデルです。

    グラースルは、対立が放置されると段階的に深刻化し、当事者双方にとって破壊的な結末に至ることを体系的に示しました。各段階の特徴を理解することで、現在の対立がどの段階にあるかを診断し、適切な介入方法を選択できます。初期段階では当事者間の対話で解決可能ですが、後期段階では第三者の介入が不可欠になります。

    コンフリクト・エスカレーション・モデル(Win-Win、Win-Lose、Lose-Loseの3フェーズ9段階)

    構成要素

    9段階のエスカレーション

    フェーズ段階特徴
    Win-Win1. 硬直化立場が固定され始める
    Win-Win2. 討論言葉による主導権争い
    Win-Win3. 行動言葉から行動での圧力に移行
    Win-Lose4. 連合形成味方を集め相手を孤立させる
    Win-Lose5. 面子の喪失公然と相手の評判を攻撃
    Win-Lose6. 脅迫最後通告や脅しの言動
    Lose-Lose7. 限定的破壊相手への損害を与える行動
    Lose-Lose8. 解体相手の組織や基盤を攻撃
    Lose-Lose9. 共倒れ自滅を厭わず相手を道連れにする

    3つのフェーズと介入方法

    • Win-Win(1-3段階): 当事者間の対話やモデレーションで解決可能
    • Win-Lose(4-6段階): 第三者による調停(メディエーション)が必要
    • Lose-Lose(7-9段階): 権力介入や法的手段が必要

    実践的な使い方

    ステップ1: 現在の段階を診断する

    当事者へのヒアリングや行動観察を通じて、対立が9段階のどこにあるかを特定します。複数の指標を組み合わせて判断します。

    ステップ2: 適切な介入方法を選択する

    段階に応じた介入方法を選びます。初期段階の対立に過度な介入をすると、かえって問題を大きくする場合があります。逆に、後期段階の対立を「当事者に任せる」のは危険です。

    ステップ3: エスカレーションの阻止

    現在の段階から次の段階への悪化を防ぐことを最優先とします。完全な解決よりも、まず悪化を止めることに集中します。

    ステップ4: 段階的な関係修復

    エスカレーションを止めた後、段階を一つずつ戻していく取り組みを行います。急激な改善を目指すのではなく、着実に一段階ずつ関係を回復します。

    活用場面

    • チーム内の対立の深刻度評価: 対立がどの段階にあるかを客観的に診断します
    • 介入戦略の立案: 段階に応じた適切な介入方法を選択します
    • 対立の予防: 初期段階のシグナルを察知し、エスカレーションを未然に防ぎます
    • 組織紛争の調停: 部門間や経営層と現場の対立の深刻度を評価します
    • コンサルティング提案: クライアント組織内の対立状況を定量的に報告します

    後期段階(7段階以降)のコンフリクトでは、当事者が「自分が損をしてでも相手を害したい」という心理状態に陥っています。この段階のコンフリクトにコンサルタントが不用意に介入すると、自身が攻撃対象になるリスクがあります。専門の調停者や法的手段の必要性を慎重に判断してください。

    注意点

    段階の境界は明確ではない

    9段階のモデルは便宜的な区分であり、実際の対立は複数の段階にまたがって進行します。厳密な段階判定よりも、おおまかな深刻度の把握と適切な介入方法の選択が重要です。

    異なる当事者が異なる段階にいる場合がある

    対立の一方は第3段階にいるが、もう一方は第5段階にいるということがあり得ます。双方の段階を別々に評価し、より深刻な方に合わせた介入を検討します。

    組織文化が段階認識に影響する

    表面的には穏やかに見えても、実際には高い段階にエスカレートしている場合があります。特に「対立を表に出さない」文化を持つ組織では、見かけの穏やかさに騙されないよう注意が必要です。

    コンフリクト・エスカレーション・モデルの最大の価値は「予防」にあります。初期段階のシグナルを察知してエスカレーションを止めることが、最もコストの低い介入です。定期的なチーム健全性チェックで、対立が芽のうちに対処する仕組みを構築してください。

    まとめ

    チーム・コンフリクト・エスカレーション・モデルは、対立が段階的に悪化するプロセスを9段階で構造化したフレームワークです。Win-Win、Win-Lose、Lose-Loseの3フェーズに応じた介入方法を提供します。コンサルタントにとって、クライアント組織内の対立の深刻度を客観的に評価し、適切な介入戦略を立案するための不可欠な診断ツールです。

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