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サービスサファリとは?現場体験による顧客理解の手法を解説

サービスサファリの定義、構成要素、実施手順、体験記録のフレームワーク、活用場面と注意点を体系的に解説。現場体験から得るインサイトの活用法を紹介します。

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    サービスサファリとは

    サービスサファリ(Service Safari)とは、プロジェクトメンバーが自らサービスの利用者として実際にサービスを体験し、顧客の視点から気づきやインサイトを得るフィールドリサーチ手法です。「サファリ」の名の通り、日常のサービス体験を「観察の旅」として意識的に体験します。

    サービスデザインの方法論を体系化したマーク・スティックドーンとヤコブ・シュナイダーが著書「This is Service Design Thinking」(2011年)の中で紹介し、サービスデザインの初期調査手法として広く知られるようになりました。

    コンサルティングの現場では、プロジェクトの初期段階で顧客体験への共感を形成するためのチームビルディング活動として、また競合サービスの体験分析やベンチマーキングに活用されています。

    構成要素

    サービスサファリは以下の要素で構成されます。

    サービスサファリのプロセスと記録フレームワーク

    体験計画

    対象サービス、体験するシナリオ、記録する観点を事前に定義します。自社サービスだけでなく、競合や異業種の優れたサービスも対象に含めることで、視野を広げます。

    体験実施

    チームメンバーが個別または小グループで実際にサービスを利用します。通常の顧客として振る舞い、サービスのすべての接点を体験します。

    記録フレームワーク

    体験を構造的に記録するためのフレームワークを使います。「何が起きたか(事実)」「どう感じたか(感情)」「なぜそう感じたか(解釈)」「改善のヒント(機会)」の4点で記録します。

    共有と統合

    個々の体験を持ち寄り、チームでワークショップ形式で共有します。共通するパターンや際立つ気づきを抽出し、プロジェクトのインサイトとして統合します。

    フェーズ活動アウトプット
    計画対象サービスと観察視点の決定サファリ計画書
    体験実際のサービス利用体験メモ、写真、動画
    記録4視点での構造化記録体験レポート
    共有チームワークショップインサイトマップ

    実践的な使い方

    ステップ1: サファリの計画を立てる

    体験対象のサービスを3〜5つ選定し、各サービスで体験するシナリオを具体化します。「新規顧客として初めて来店し、商品を購入する」のように、起点と終点を明確にします。観察の視点(接客品質、情報の分かりやすさ、待ち時間など)も事前に決めておきます。

    ステップ2: サービスを体験し記録する

    チームメンバーが実際にサービスを利用します。体験中はスマートフォンで写真やメモを記録し、体験直後に「事実・感情・解釈・機会」の4点で詳細なレポートを作成します。時間が経つと記憶が薄れるため、当日中の記録が必須です。

    ステップ3: 体験を共有しインサイトを抽出する

    全メンバーの体験レポートを持ち寄り、ワークショップ形式で共有します。類似の気づきをグルーピングし、プロジェクトにとって重要なインサイトを3〜5つに絞り込みます。

    サービスサファリの価値は、プロジェクトメンバーが「顧客の気持ちを自分の体験として理解する」ことにあります。資料やデータの分析では得られない身体的・感情的な理解が、その後のサービス設計の質を大きく左右します。

    活用場面

    • プロジェクトのキックオフ段階で、チーム全員が顧客体験への共感を共有するために活用します
    • 競合サービスのベンチマーク分析で、定量データでは見えない体験品質の差異を把握する際に使います
    • サービスリニューアルの企画段階で、現行サービスの体験上の課題を一人称で理解する際に活用します
    • 異業種の優れたサービスから学び、自社サービスへの示唆を得る際に使います
    • 新人コンサルタントの育成で、顧客視点で考える力を養う訓練として活用します

    注意点

    体験と分析を分離する

    体験中に「ここがダメだ」と即座に判断するのではなく、まず事実と感情を正直に記録し、分析は後で行います。体験中の思い込みが分析の偏りを生むリスクがあるためです。

    一人の体験を一般化しない

    サービスサファリは少人数の体験に基づく定性的な手法です。自分が感じたことがすべての顧客に当てはまるとは限りません。複数メンバーの体験を比較し、共通パターンに注目することが重要です。

    批判ではなく改善機会として捉える

    サービスの問題点を見つけることが目的ではなく、改善のヒントを見つけることが目的です。特に自社サービスのサファリでは、現場スタッフを批判するのではなく、構造的な改善機会を探る姿勢が求められます。

    サービスサファリだけで顧客理解が十分だと考えるのは危険です。プロジェクトメンバーの体験は、実際の顧客層とは異なる視点に偏る可能性があります。ユーザーインタビューや定量調査と組み合わせることで、より信頼性の高いインサイトが得られます。

    まとめ

    サービスサファリは、プロジェクトメンバーが自らサービスを体験し、顧客視点のインサイトを得るフィールドリサーチ手法です。スティックドーンとシュナイダーがサービスデザインの方法論として紹介したこの手法は、計画、体験、記録、共有の4フェーズで構成されます。「事実・感情・解釈・機会」の4視点で体験を構造的に記録し、チームでのワークショップを通じてプロジェクトに活かすことが実務での成功のポイントです。

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