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リゾルーション・アプローチとは?問題を解決ではなく解消する思考法

リゾルーション・アプローチは、問題の条件や前提そのものを変えることで問題を「解消」する手法です。ラッセル・エイコフが提唱した4つの問題対処法の分類、実践ステップ、活用場面を解説します。

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    リゾルーション・アプローチとは

    リゾルーション・アプローチは、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのラッセル・エイコフが提唱した問題対処の考え方です。問題に対する4つの対処法を区別し、最も根本的な「解消(Dissolution)」を目指すことを特徴とします。

    エイコフは、問題への対処法を以下の4段階で整理しました。

    1. 放置(Absolution): 問題を無視し、自然に消えることを期待する
    2. 緩和(Resolution): 十分ではないが許容可能な結果を得る
    3. 解決(Solution): 最適な結果を追求する
    4. 解消(Dissolution): 問題が発生する条件そのものを再設計する

    多くの組織は「解決」に注力しますが、同じ問題が繰り返し発生する場合、それは問題の条件自体に原因がある可能性を示しています。解消は、問題を含むシステムや環境を再設計することで、問題が生じない状態を作り出します。

    構成要素

    4つの対処法の分類

    各対処法は、問題に対する関与の深さが異なります。

    対処法姿勢例(渋滞問題)
    放置何もしないそのうち解消されると期待する
    緩和妥協する迂回路を案内する
    解決最適化する信号の制御を最適化する
    解消再設計するリモートワークで通勤自体をなくす

    理想化設計

    エイコフの解消アプローチの中核は「理想化設計(Idealized Design)」です。現在のシステムが昨夜消滅したと仮定し、技術的に実現可能で運用可能なシステムをゼロから設計するという思考実験です。

    インタラクティブ・プランニング

    解消は一度の設計で完結するものではなく、継続的な学習と適応のプロセスです。計画を実行しながら学び、設計を更新し続けるインタラクティブ・プランニングの考え方が基盤となります。

    問題対処の4段階(エイコフ):放置・緩和・解決・解消

    実践的な使い方

    ステップ1: 問題の繰り返しパターンを認識する

    まず、同じ種類の問題が繰り返し発生していないかを確認します。過去に「解決」したはずの問題が再発している場合、解消のアプローチが有効なサインです。

    ステップ2: 現行システムの前提を列挙する

    問題が発生する環境やプロセスの前提条件を洗い出します。「なぜこのやり方なのか」「この制約は本当に不変か」と問いかけ、暗黙の前提を可視化します。

    ステップ3: 理想化設計を行う

    現行のシステムが存在しないと仮定し、理想的な状態をゼロから設計します。このとき「技術的に実現可能」「運用可能」の2条件のみを制約とし、現行の制度や慣習は制約としません。

    ステップ4: 理想と現実のギャップを特定する

    理想化設計と現状の差分を分析します。何が理想の実現を妨げているかを具体的に特定し、その障壁が本当に不可変かを検証します。

    ステップ5: 段階的に移行する

    理想に向けた移行計画を策定します。一気に全体を変えるのではなく、最もインパクトが大きく実現可能な部分から着手し、学びを反映しながら段階的に進めます。

    活用場面

    • 業務プロセス改革: 非効率なプロセスの改善ではなく、プロセス自体の必要性を問い直す場面で効果を発揮します
    • 組織構造の再設計: 部門間の調整コストが恒常的に高い場合、組織構造そのものを見直します
    • 製品・サービスの革新: 既存製品の改良ではなく、顧客の課題を根本から解消する新しいアプローチを発想します
    • コスト構造の変革: コスト削減ではなく、コストが発生する構造自体を変えることを検討します
    • 紛争の解消: 利害対立の調整ではなく、対立が生じない仕組みを設計します

    注意点

    解消が常に最善とは限らない

    緊急性が高い問題には、まず緩和や解決で対処し、並行して解消の検討を進めるのが現実的です。問題の緊急度と重要度を見極めた判断が求められます。

    理想化設計の実現可能性を検証する

    ゼロベースの設計は魅力的ですが、実行に移す際には段階的なアプローチが不可欠です。理想に固執して現実との接点を失わないよう、小さな実験で仮説を検証します。

    関係者の合意形成に注力する

    システムの再設計は多くの関係者に影響を及ぼします。変革の目的と効果を丁寧に説明し、関係者を設計プロセスに巻き込むことが成功の鍵です。

    まとめ

    リゾルーション・アプローチは、問題を「解く」のではなく「なくす」という発想の転換を促す思考法です。放置・緩和・解決・解消の4段階を意識し、繰り返し発生する問題に対しては条件そのものの再設計を検討します。理想化設計によるゼロベースの発想と、段階的な移行計画の組み合わせが実践の要です。コンサルタントは「もっとうまく解く」だけでなく「そもそも問題が起きない状態を作る」という視座を持つことで、クライアントにより大きな価値を提供できます。

    参考資料

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